カジノ法案に懸念はあるが悪い面ばかりではない

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カジノ法案の目的について

カジノ法案の目的は観光や地域経済の振興に役立ち、ひいては財政の改善にあると規定します。
カジノだけを創設する目的だけではなく、地方公共団体が認定を受けた地域に、レクリエーション施設や宿泊施設などさまざまな施設を総合的に創設するものです。

カジノ施設は民間事業者が運営を行い、国や地方公共団体が納付金を徴収すると共に入場者からも入場料を徴収します。
正式に法案が成立すれば、地方公共団体は認定を求める必要がありますし、カジノなどのサービス提供事業者はもちろん総合施設の工事に携わる事業者など多くの民間企業が企画段階から関わることになります。

この構造は過去の政官の癒着を生んだ公共事業と同じリスクを孕みます。
ここには創立段階でのマイナス面があるものの、オリンピックなどの大きなイベントを初めとして海外からの観光客は増加傾向にあるため、複合観光施設を創ることで一層魅力的な街づくりが進み、何より観光スポットに乏しい地方都市の場合は観光客を呼び寄せる起爆剤になる可能性があります。

カジノ並びに複合施設が設立された場合の懸念

カジノ並びに複合施設が設立された場合の懸念は、政治やマスコミ、業界団体など多方面から聞こえます。
ギャンブル依存症の問題と多額の資金が動くことによる治安の悪化がしばしば指摘されます。

依存症対策では、日本人が利用する場合は、週3回でおよそ月10回までと制限を設けるとともに入場時にマイナンバーカードによる本人確認が義務付けられます。

韓国に比べると利用できる回数が少ないので政府与党にとっては配慮したのでしょう。
しかしシンガポールでは月8回ですから、これでは不十分との声もあり、誘致したい自治体によっては医療機関と連携して依存症対策に備えるところもあります。

治安に関しては、アメリカやシンガポールなどを参考にカジノ管理委員会を置きカジノなど施設の管理監督を行います。
どうしてもギャンブルは反社会勢力が不正に得た資金をマネーロンダリングに利用することが考えられるので、国や行政の介入が欠かせません。

反社会勢力など治安の悪化に対する対応策

シンガポールでは反社会勢力の構成員と判明すれば入店できませんし、一定額以上の取引をするときには、本人確認や身元確認など細かなチェックを受ける必要があります。
イギリスやオーストラリアでも一定額以上の換金や両替のときには調査を受けます。

青少年対策ももちろんあり、年齢制限が19歳の国もあれば21歳の地域もあります。
概して21歳の国や地域が多いので日本では21歳になるのではないでしょうか。

このような懸念材料は先んじて複合施設を導入した国や地域を参考にすると対策可能です。
諸外国のデータを見ると、確かに直接雇用が増えたり、税収増加につながったところもあるようです。

観光面でも施設建設前よりも減少したとのデータは見られません。
人の流入にともなう犯罪件数の増加があるため、それら対策費を見込めば利益と費用がどの程度の差なのか明確でない点は熟慮が必要です。

ギャンブルの一点に注目せず客観的な視点で見ること

そもそも複合観光施設とはどのようなものをいうのか、シンガポールの例で見てみましょう。
カジノはもちろんのこと、空中庭園やショッピングモール、展示場から劇場にホテルを備えた施設やスパ、趣向を凝らしたプールなどがある施設もあります。

カジノ法案と聞くとどうしてもギャンブルに耳目を奪われがちですが、決してギャンブルだけではなく、宿泊でリラックスしたりショッピングを楽しめる施設が併設されています。

これらを含めて考えてこそ法案の良し悪しが判断できるので、ギャンブルの一点に注目し、依存症や治安の懸念をことさら大きく見ず客観的な視点が重要でしょう。

何となく悪い法案のように扱われがちですが、良い面もあるのでニュースに触れる人それぞれの考えを持ちたいものです。